ゴールデンレトリバーはてんかん発作が起こりやすい?

ゴールデンレトリバーにも起こりやすい「てんかん発作」という病気。
我が愛犬が12歳にして初めて発作が起こりました。
てんかん発作とはどんな病気なのか?
原因は?治療法は?

ゴールデンレトリバーはてんかん発作が起こりやすい?

それは突然起こりました。
新年早々、朝起きたら愛犬が目を見開きジタバタして失禁してしまい、このまま死んでしまうのでは?とドキドキしてパニックになりました。

てんかん発作とは?

てんかんとは脳内の神経に異常な興奮が起こり、体のコントロールを失ってしまう状態のことです。

様々な原因で神経細胞が異常発火(てんかん放電)を起こし、まるで花火が暴発したかのように無秩序に興奮が起こることがあります。
これを「てんかん発作」といいます。

発作が起きるとどうなるの?

てんかん発作は軽度~重度まで様々です。

焦点性てんかん発作

焦点性てんかん発作とは、神経細胞の異常発火が脳の局所で発生した状態のことです。
具体的には顔の痙攣、瞬き、瞳孔の散大、過剰なよだれ、嘔吐、不安がる、四肢を動かすなどです。

全般発作

全般性てんかん発作とは、神経細胞の異常発火が右脳と左脳を含む脳の広い領域で発生した状態のことです。
具体的には、筋肉が硬直したまま、手足バタバタ動かす、失禁、意識を失う、などです。

てんかん発作の原因は?

てんかん発作は他の病気が原因で起こることもあります。

血液検査、尿検査、MRI、CTなどで検査をしますが、MRIやCTは全身麻酔が必要な為簡単に検査できるものではありません。

てんかん発作は原因が分からないときにはじめて診断されるものなので、検査をすべてして症候性てんかんの可能性が全て消えたら「てんかん」と診断されます。

痙攣発作を起こし、てんかん発作と症状が似ているように見える病気には、低血糖、不整脈などの心疾患、電解質異常、ナルコレプシー、門脈シャント(肝臓疾患)、前庭障害(耳の三半規管)などがあります。

意識障害や行動障害を起こすという症状が共通している為、てんかんとの鑑別診断が必要になります。

症候性てんかん

症候性てんかんとは、脳の異常によって引き起こされるてんかんで、1歳未満の子犬や6歳以上の犬に多く見られます。
若い頃に発作を起こしたら遺伝によるものが多いのですが、特に歳をとってからてんかん様発作が起きたら他に原因がある場合が多いです。

考えられる原因は以下のものがあります。

  • 脳炎
  • 脳腫瘍
  • 水頭症
  • 事故による外傷で脳に後遺症
  • ウイルス性(ジステンパーなど)
  • 代謝障害(甲状腺低下症など)
  • 中毒

歳をとってからの発作は脳の病気の可能性が高いとの事でしたので、早めに病院に行った方がいいです。

特発性てんかん

「特発性てんかん」とは、検査をしても原因がよく分からないときに使われる言葉です。
特発性てんかんは、脳に異常がないにも関わらず発作を繰り返すのが特徴で、1〜5歳の犬で多く見られます。
ゴールデンレトリバーもなりやすい犬種と言われています。

てんかん発作が起きたらどうすればいいの?

全般発作を初めて見たら、このまま死んでしまうのではないか?とパニックになると思います。
実際私もそうでしたので何もできずに只々愛犬の名前を呼んで体を撫でていました。

でも、安心してください。

てんかん発作が直接の原因で亡くなる事はほとんどありません。

てんかん発作が起きたときにすること

飼い主にできることはほとんどありません。

  • 周りに危険なものがあったら避ける事
  • 階段から落ちないようにする事
  • 頭を打ったり怪我をしないように、毛布などを壁の間に挟む事
  • 危険なので犬には触らず、静かに離れて見守る事
  • 様子をよく観察して、時間を測る事
  • 余裕があれば動画を撮る事

飼い主にできることは残念ですがこれぐらいです。

とにかく大事なのは怪我をさせないことと、様子をしっかり獣医さんに伝える事です。
動画を撮るなんてできないよ!と思われるかもしれないですが、言葉で説明するよりも動画を獣医さんに見て頂くのが一番わかりやすいので、撮ってくださいと言われます。

飼い主にとって愛犬の辛い姿を見るの間はとても長く感じます。
1~2分の発作なのに5分くらい経ったような気がしてしまうので、時間を測るか動画に収めましょう。

この時に犬の体に触ると噛まれる事がありますので触らないようにしてください。
発作の最中は犬は意識がありません。
かわいそうなのでついつい触れたくなるし私も最初は触ってしまいましたが、噛まれそうになりました。

舌を噛んでしまわないか心配になりタオルを口に挟んだ方がいいかと思うかもしれませんが、犬で舌をかんで重症になるケースはそれほど多くないそうなので大丈夫だそうです。
口に触って噛まれる方が危険との事でした。

てんかん発作が起きた時に見ておくこと

  • きっかけ(発作前何をしていたか)
  • どんな様子か(発作中の様子)
  • 意識はあったか
  • 目が揺れていないか
  • 瞳孔が開いてないか
  • 発作の始まりから終わりまで何分経過したか
  • 発作後はどうなったか

細かい所までメモして獣医さんに伝えたらなにかヒントが見つかるかもしれません。
発作が起こるたびに記録として残しておけば、どんな時に起こりやすいのか分かるかもしれません。

こんなときは病院へ!

  • 1回の発作が5分以上続く
  • 意識が戻る前に続けて発作が起きる
  • 発作の後、30分経っても完全に回復しない
  • 1日に発作が2回以上起きる

このような重責発作の場合は命を落とす危険があるのですぐに病院へ連れて行ってください。

てんかん発作の治療法は?

原因が分からない特発性てんかん発作は基本的に治る病気ではなく、持病として一生付き合っていかなければなりません。
ですが、薬でコントロールしていけばほとんど発作を起こす事もなくそのまま寿命まで生きていける子もいます。

基本的に抗てんかん薬を一生飲み続けなければならないので、初期の副作用~長期的な副作用も考えながら量を調節して定期的にモニタリングしながらコントロールしていくことになると思います。

通常は1回だけの発作では様子見で投薬開始にならない事が多いです。

一般的には月に1回以上の発作があった場合、初めての発作でも1日に何回か起こした場合(群発発作)、あるいはてんかん重積状態(発作が止まらない場合)になった場合にはすぐに治療を開始することになります。
ただ、半年に1回あった発作が3カ月に1回、そして2カ月に1回と頻度が増えているようならば治療を開始することをお勧めされています。

「今回の発作は前回の発作の結果であり、次の発作の原因となる」という言葉があるそうですが、発作が発作を呼ぶということになるので、とにかく発作を起こさない事が大事だそうです。

そして、医師の判断を無視して薬を突然中断したり減らしたりするのはやめましょう。

愛犬のてんかん発作の場合

我が愛犬は、12歳4ヶ月のある日突然起こりました。
シニアになってからの初めての発作ということで、脳腫瘍や脳炎が疑われました。

検査するのは全身麻酔が必要だったので老犬になっての全身麻酔は本当に迷いました。
救急に行ったときの先生には、脳の病気だったらやる処置は抗てんかん薬とステロイドで抑える治療になるから調べずに薬を飲ませるのも一つと言われました。

主治医の先生は、推測で余計な治療をするよりも調べようと言ってくださり、検査に踏み切りました。
血液検査、MRI、CTを撮ったものの何も原因は見つからず。
結果、特発性のてんかん発作だということになりました。

飲ませなくてもいいステロイド治療をしなくて済んだので、結果的には調べて本当に良かったと思ってます。
それから複数回発作が起きているものの、現在は薬を変えたり量を変えたりモニタリングしながら抗てんかん薬でコントロールできています。