なぜゴールデンレトリバーが赤ちゃんをかんでしまう事故が起きたのか

ゴールデンレトリバー愛好家・愛犬家の人達に衝撃が走ったニュース。

ご家族の方の心情を考えると、怒りも悲しみもぶつける先がないこの事故は想像を絶するくらい辛いものだと感じます。

今回の関係者の方々を非難するわけではなく、どうしようもないこのような悲しすぎる事故が二度と起きない為に、教訓として今回の事故について真剣に考えてみたいと思います。

”ゴールデンレトリバーが子供を咬み殺した”という報道

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最初、そのタイトルだけを聞いた時は「まさかゴールデンが?!」「信じられない」という衝撃が走りました。

ゴールデン飼っている人なら分かると思います。
だってあの人間大好きなゴールデンがそんなことするはずない。

あのゴールデンが狂犬に育つってどんな環境で飼ってるんだ?!

など、本当に不思議で仕方がなく記事を読みました。

よくよく記事を読むと次のような事が分かりました。

事故の概要

  • ゴールデンレトリバー4歳の37kgオス
  • 母親が仕事の為、実家の祖父母に預けていた
  • 祖父母が飼っている犬で、今まで数回家にいっていた
  • 10か月の赤ちゃんで最近ハイハイを始めたばかりだった
  • 犬は室内で放し飼い
  • 祖父母と3人で居間で遊んでいる所を突然かみついた
  • 噛みついたのは頭の一か所だけ
  • 祖母が「ダメ」といったらやめた
  • 病院に運ばれた2時間後に死亡
  • 飼い主いわく「吠えたりかんだりしない臆病でおとなしい犬」だった
  • ご近所の方がこの犬に子供を触らせたことがあるが問題行動はしなかった
  • ご近所の方いわく「子供が好きなようで嬉しそうに近づいてきた」

以上が今分かっている事故の状況です。

これを読んでから、この犬が凶暴とか躾が悪いとかそういう問題ではないんだな。と分かりました。
犬が悪者にされていますが、この犬は悪くありません。
大人が気を付けていれば十分防げた事故です。

おそらく犬に殺意はなかったからです。
本気で殺そうと思っていたら、その場で即死させてたはずです。
「だめ」と言われてもやめないはずです。

殺そうとして咬んだわけではなく、何らかの理由があって噛んだ。
相手は10か月の乳児。
たとえ甘噛みだったとしても致命的。
結果的に残念ながら亡くなってしまった不運な事故です。

”咬み殺した”という表現は違和感を覚えます。

犬にとって赤ちゃんは恐怖の存在

以前こちらの記事(犬と子供の共同生活のポイント)でもお伝えしましたが、犬にとって赤ちゃんは人間として認識できません。
”得体の知れない謎の生き物”なのです。

一緒に住んでいるならまだしも、一緒に住んでいない「外部からの侵入者」を簡単には受け入れられません。

歩かない頃は大丈夫でも「ハイハイ」しだしたり歩き出すようになると、犬にとって恐怖が増します。

一緒に住んでもいない犬と赤ちゃんを同じ空間でフリーでいさせるなんて、かなり危険な行為です。
ケージなどでどちらかを囲っておくか、常に目を離さずに、何かがあった時に守れるような状態でいなければなりません。

いくら温厚だとはいえ、いつどこでスイッチが入るか分かりません。
動物に「絶対大丈夫」はないと思った方がいいです。

ましてや大型犬。
4歳のまだまだやんちゃ盛りなゴールデン。
噛むことがなかったとしても、37キロの大型犬が赤ちゃんを間違えて踏んでしまう可能性だって十分に考えられます。
赤ちゃんが窒息死することだってあり得ます。

気を付けていれば防げた事故なだけに、残念でなりません。

考えられる要因

その場にいなかったので詳しくは分かりませんが…
犬がかむのには必ず理由があります。

  • ストレス
  • 嫉妬
  • 家族を守る為
  • 恐怖
  • 遊びたい
  • どこかに運ぼうとした
  • 犬を怒らせることをした
  • おもちゃと間違えた
  • 本能を刺激して興奮した

など・・

理由がなければ犬は咬みません。
問題行動のある凶暴な犬だって全てそうさせてしまった人間が悪いのです。

今回の犬は「臆病な犬」だったと。
きっとハイハイして近づいてくる生き物が怖くて「これ以上近づくな」という防御で噛んでしまったんだろうと私は推測します。

犬の習性・性格をよく理解していないとこういう悲しい事故が起こってしまいます。
犬を守れるのは飼い主しかいません。

この後、この子がどうなってしまうのか。
とてもとても心配です。
賢くて優しい子なら、自分のせいでみんなが悲しんでることを理解して心痛めているかもしれない。

そして比較的温厚なゴールデンでもこういう事故が起こること。
たとえ小型犬でもどんなおとなしい犬でも、こういう事故は起こりうるということ。
「動物に絶対はない」という事を改めて肝に銘じないといけないと思いました。

全員が全員かわいそうな事故。

もうこんな悲しい思いを誰にもしてほしくないので教訓として忘れないために書かせて頂きました。

犬と子供は一緒に暮らしてはいけないのか?

「犬と子供は一緒に暮らしてはいけない」という誤解も生まれそうですが、決してそうではありません。
犬と子供が一緒に育つメリットはたくさんあります。
(詳しくは「犬は子供がいる家庭にオススメ」の記事をご覧ください)

もちろん大人が充分に犬の習性や性格を理解して、犬の気持ちを理解してあげる事や細かい気遣いが絶対に必要です。

きちんと家族として受け入れてもらえたらきっと子供にとっても良きパートナー、良き遊び相手になってくれると思いますし、情操教育にも良いです。

今回の件で子供のいる家族が「犬と一緒は危ない」と誤解して犬を手放してしまう人が増えない事を心から願います。

それは誤解だということを伝えたく、そしてゴールデンレトリバーに対して「怖い犬」という印象を与える報道や世間の目、「怖い犬は殺処分しろ」などという風潮に疑問と憤りを感じ、どうしてもゴールデンの名誉の為・この子の名誉の為に書かなくてはと思いました。

亡くなった赤ちゃんにご冥福をお祈りいたします。
ご両親の悲しみが少しでも癒えますように。
飼い主様の苦しみが少しでも和らぎますように。
ゴルちゃんの痛んだ心が少しでも救われますように。

ゴールデンレトリバーを、犬を愛する全ての人達がもうこんな悲しい思いをしませんように。。

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